堺雅人『鎌倉ものがたり』妻との関係が大事な物語。高畑充希の演技は底知れない!?
■僕は“方向音痴”の役者だと実感
堺雅人さん「自分は方向音痴の役者です」と名言
――堺さんは長いキャリアのなか、浮足立つことなく、いまも真摯(しんし)な姿勢でお芝居に向き合っていらっしゃいます。何か心がけている点はありますか?
この前気づいたんですが、僕はひどい
方向音痴なんです。方向感覚がある人は、世界が1枚の地図になっているらしく、例えば新宿から渋谷に移動したあと、どんなルートで移動したか、新宿がどちらの方向か、なんとなくわかるらしいですね。僕は毎回毎回、
別の地図を開く感じなんです。
お芝居でもそうで、僕は前の現場のことはほとんど忘れています。ひどいときには、前のシーンのこともあんまり自信がない。演じるときに、
新しい地図をいちいち開くんです。その頼りなさが、人には真摯に写るのかもしれない。
――キャリアを積んでいくと、その地図の精度は上がっていかないのですか?
それが精度が上がっていかないんです(苦笑)。方向感覚があれば、将来こうしたいから「今」これをしようという考えがもてると思うのですが、自分はそれができない。この先、僕自身もどこに行くのかよくわかっていないんです。
じつは山崎監督も方向音痴だそうで。そういえば「ここに行きたいからこのルートを通ってほしい」と指定するのではなく、いっしょに新しい地図を作ってくださるタイプの監督さんでした。
もちろんいろんなタイプの監督さんがいらして、それぞれに面白いのですが、今回はそういう山崎組が楽しかったです。
■ママが映画館でほっこりできますように
――本作をこれから観るママたちへのメッセージをお願いします。
お母さん方は、日々大変な毎日だと思います。
だから「お疲れさまです」と心から言いたいです。なかなか映画を観るためのまとまった2時間を取ることは難しいだろうと思います。子どもとお母さんが一緒に映画を楽しめる映画館や上映回が増えるといいですね。
そういった子どもと楽しめる映画館があれば僕も観に行きたいと思っています。また、映画館に安くて良い託児所が増えるといいなあとも思っています。
本作はいろんな方に観てもらいたい映画です。いろんなことを思い出しながら図書館で
絵本を読んでいるような感覚になる方もいらっしゃると思いますし、
いまの生活を考えるながら観る方もいらっしゃるかもしれない。いずれにしても、映画館にいらっしゃるときは、ほっこりした時間を過ごせますようにと、切に祈っています。
『DESTINY鎌倉ものがたり』
© 2017「DESTINY鎌倉ものがたり」製作委員会
12月9日(土)より全国公開
ミステリー作家・一色正和(堺雅人)と年若い妻・亜紀子(高畑充希)は、人と人ならざるものたちが仲良く暮らす街・鎌倉で仲良く暮らしている。一色家には、実年齢130歳?の家政婦・キン(中村玉緒)や、正和の担当編集者・本田(堤真一)、貧乏神(田中泯)など、バラエティーあふれる面々が行きかいしていた。ある日、病に倒れた正和が目を覚ますと、亜紀子の姿が消えていた…。
夫婦の尊い絆を軸に、人に優しくする思いやりの大切さなどのメッセージがユーモアに包まれて優しく届けられる本作。まさに夫婦や親子で観るにはぴったりの感動作です!
仲野太賀の20代をふり返るオールナイト上映『ほとりの朔子』『南瓜とマヨネーズ』『あの頃。』