2016年3月5日 20:30
リトゥン山縣良和×桐生でニードルパンチを手がける澤利一「ニードルパンチはフリーペインティングと同じ」前編【ファッションが生まれる場所】
その布を巻き取って、いざニードルパンチの機械で加工をしようとしたその時、その布がほどけ、シルクの布にレイアウトしてあった無数の端切れが全て床に落ちてしまったのだ。
ニードルパンチをしようとした時、レイアウトしてあった無数の端切れが床に落ちてしまうアクシデントが
まるで花吹雪のように散り散りになる端切れを、山縣さんがスマホに納めてあったレイアウト時の画像を元に、その場で並べ直さなくてはいけなくなってしまったのだ。それでも、澤さん夫妻と山縣さんでもう一度端切れを約1時間かけて並べなおし、再びニードルパンチの加工を経てテキスタイルが完成するという出来事があった。
山縣さんは「今日の作業のように、布地に端切れを並べていく作業は、絵を書くときの感覚やコラージュなどのアートワークをしている時の感覚に近いですね。手を動かしながら、イメージが広がっていく感覚です」とその作業を振り返る。
仕上がった生地を見つめる2人。そこにはスワッチ(生地の見本帳)をイメージしてレイアウトされた端切れがニードルパンチの加工を通じて地の布と一体化した姿があった。ただ、1万本もの針で無数に打ち付けられたこともあり、並べた時との状態そのものではなく、色味がやわらかくなったり、また柄のシルエットが少し流れて変わったりと、様々な表情を見せている。