くらし情報『映画監督園子温「人間の命って、陽炎みたいにおぼろげで、はかないもの」2/2【INTERVIEW】』

2016年5月7日 21:00

映画監督園子温「人間の命って、陽炎みたいにおぼろげで、はかないもの」2/2【INTERVIEW】

映画に出てくれた福島の人たちだって、25年前は、無人化する前の町で、生き生きと暮らしていたはず。でもそうした福島の町は、いつか失われゆく町なんです。それは、福島だけに限らず、どの町でもそうで、今ここに存在しているこの瞬間だって、100年後には痕跡さえ残らず、われわれも全員死んで、この町も完全に変わっている。あらかじめ、なくなることが運命づけられている。つまり人間は、ある種の幻影の中で生きている。この瞬間もまた幻想、まぼろしであると。そうやって突き詰めると、今ここに存在する町、生きている僕たちと、死後の世界というのは、そんなに変わりないのではないのか。別に悲観的な考え方ではなくて、それが生命の灯火、命のつながりであり、ただ「命」というもののありようを表現してみたかった。
ーー映画でも、生の世界なのか死の世界なのか、どちらかわからなくなる時があります。映画のエンディングセットも、影しかないですし、読みようによっては、黄泉の国と思えなくもない。人間の命って、陽炎みたいにおぼろげで、はかないもの。そういう表現として影絵を選んだ。アンドロイドは何百年も生きるけど、人間は100年くらい生きて滅んでいく。

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