「エシカルファッション」に対抗する「ジャパンレザー」の愁苦【COLUMN】
皮革産業に関してクロムなめしが一般化するまで、19世紀にヨーロッパではタンニンなめしが100%だったのに対して、日本では20世紀半ばまで油なめしで行われ、最近まで化学薬品を使用しない「白なめし」という手法が残っていた。それは狭い国土の地域の森や川を守るため生態系に配慮する独自の工夫から発達した。特に姫路の白革は19世紀末のパリ万博で紹介され、その強靭さから盛んに輸出された。加工における職人技術は、姫路やたつのなどの兵庫、東京、栃木、長崎、岐阜など産地それぞれに特徴を持ち、海外からも認められる高級レザーを扱うタンナーやレザー職人は後継者不足に悩みながら、現在も数多く存在する。エシカル、サスティナブル、ヴィーガンと押し寄せる欧米のマーケティング手法と、日本が欧米と違う環境のもと、独自の伝承で築いたそれらの技術が追いやられるなか、「ジャパンメイド」というブランドはその文化を提示している。文/野田達哉:ファッション・ヘッドライン初代編集長
*当記事は『月刊商店建築』2022年7月号(6月28日発売)に掲載されたものを一部加筆・修正、写真を追加したものです。
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