ミラノ編:メンズファッション、次の10年の流れを探るvol.3【2020春夏メンズコレクション総括】
アーティスティック ディレクターにアレッサンドロ・サルトリ(Alessandro Sartori)が復帰してから、その会場と演出はゲストを毎回驚かせている。
アンゼルム・キーファー(Anselm Kiefer)の巨大な作品が使用された2017-18年秋冬に始まり、2018年春夏はミラノ大学の中庭をタンジェリンカラーに染め、2018-19年秋冬はルイージ・ボッコーニ商業大学の床一面を雪に、昨年6月の2019年春夏はオスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)の建築であるモンダドーリ本社、今年1月はミラノ中央駅を封鎖して開催した。
そして今シーズンはミラノ郊外の金網で囲まれた広大な荒れ地。指定された場所までタクシーで到着するとそこからランウェイ会場までクルマに乗って案内される。産業遺産らしき錆びた鉄の巨大な構造物の残る都会の荒れ地は不気味で、周りに積み上げられたコンクリート片の間から煙が噴き上がる仕掛けまで演出されている。ゲストは直前に降った雨と、煙の臭いもあって一様に困惑顔だ。
エルメネジルド ゼニアのショー会場
Photo by Tatsuya Noda © FASHION HEADLINE
エルメネジルド ゼニア2020年春夏コレクション
Photo by Tatsuya Noda © FASHION HEADLINE
この場所を選んだ理由をサルトリは「ゼロから新しいモノを作り出す必要はなく、廃棄されたものから新しいものを作る技術や創造性が必要」