高橋悠介がイッセイミヤケメンデザイナーに就任するまで4/4―日本の伝統技術を若者に伝えたい
染めを説明するイッセイミヤケメンデザイナーの高橋悠介氏
14SSコレクションのショーのオープニングを飾ったシャツとパンツは、滲みのある大きな格子柄が強い印象を与えた。その柄は、板締めと捺染(プリント)を合わせたものだった。「若い人が、染めって古いという印象を持っている気がしているんですよ」。だが、高橋はその古さがとても格好いいと感じている。
「27歳って若いじゃないですか。表裏一体で、フレッシュな分、浅いんですよ」。よく自覚していると思うが、はたして、そのことが現実的なものづくりとどうかかわっているのか。「伝統と若さをぶつけると、うまくバランスがとれるのではないかと思い、どっしりした染めを選び、一方でポップな柄を選んだ」と、明かしてくれた。
イッセイミヤケというブランドの重さに、若い高橋が向かっていく姿勢、それが、デザイン上の方法“極端と極端をぶつける”に、つながっていたのだった。
さらに、染めへの“愛着”は続く。「染めの印象が古いから、若くしたいんだったら、染めを省けばいい」と、短絡的に考える風潮があるという。「実際はそうではなくて、古いものをちょっと変えれば、今の時代のものになるんです」