現代ロシア、そこにあるランドスケープ。グロンスキー写真展東雲で開催中
必然的に人が住んでいる。場所ではなくて、人が生活をしている部分と自然界とのボーダー(境界線)が見えることに意味がある。」と話す。
都市の境界線に着目し、撮影したシリーズの『The edge』は、特にモスクワとその周辺の冬の風景、なかでも雪景色を撮っている。旧ソ連時代の集合住宅が多く見られる郊外は、都市計画で団地と団地の間にオープンスペースを設ける必要があり、そこは冬の間も人々の憩いの場となる。そうした公的空間で人々は雪そりやスキー、プールで泳ぐなど私的に楽しむ人々の様子を収めた。「露出を高めて、白が浮くように雪を撮影することで、周辺風景の要素が切り抜かれたかのように見えるようになる」とイメージとしてどのようにグラフィカルなクオリティーを持たせるかについても考慮されている。
このように、ディテールを掘り下げていくと、郊外と都市、公的空間と私的空間、インフラと自然といった「境界線」が1枚の写真に潜んでいるのが、グロンスキーの作品の特徴だ。
近作の『pastoral』は、モスクワと田舎の中間域で人間が自然風景をどのように使うのかに興味を持ち撮影したシリーズ。
『The edge』の撮影中から構想し、春を待って撮影を開始した。