2024年3月20日 16:25
ドレスドアンドレスド 2024年秋冬コレクション - 目覚めたままに見る夢
シングルブレストとダブルブレストのジャケットは、ハンマーサテンばかりでなく、ハリとドレープに秀でたウールギャバジン、ほどよい起毛感を持つコットンモールスキンで繰り返される。あるいはダブルブコートにおいては、首回りのシャツカラーが、トロンプ・ルイユのように白さを添える──あたかも、2022年秋冬シーズンのシャツカラーの記憶が、突如露わになるかのように。
さて、睡眠中には欲望の充足が夢として表れるものの、目覚めているあいだは、夢に代わって幻想がその役割を担うことになる。今季のドレスドアンドレスドが、空想・幻想を意味する「Rêverie」をテーマとしたのは、夢のイマージュを、身にまとう衣服として具現化することを試みたからだといえる。それではなぜ、鏡の空間へと──夢が夢であると知りながら、むしろ自然に、快く──降りてゆくのか。イマージュとは、なるほど論理的には「不可能性の空間」に湧き起こるものの、主観的には、自らの自我を示し、存在を確立するものである。ならばドレスドアンドレスドにおいて、衣服とは、目覚めたままに見る夢の謂いにほかならなかったであろう。
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