ミューラル 2025年春夏コレクション - 花、美しさの無意識
と、20世紀ドイツの批評家ヴァルター・ベンヤミンは語っている。「微細なものに住まう形象の世界」がカメラによって拡大されることで、人間の意識で捉えられた「be(〜である)」が揺らがされるのだ。
普段の視線から離れて、よくよく目を凝らすと見えてくる、物の優美さと奇妙さ。そして、そこにあらためて驚いてみること。だから、華やかさは華やかさのままに現れるのではない。ダブルジャケット風のドレスなどに用いた、ミューラルを象徴する刺繍レースは、優美な花柄をモチーフとしながらも全体を同系色でまとめ、そこに時折り、ラメ糸がきらめきを翻す。あるいは、スカートなどには、植物の有機的な曲線を、同色の刺繍で施す──今季のミューラルは、いわば、美しさの無意識を見出したのではなかっただろうか。
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