コム デ ギャルソン 2025年春夏コレクション - ヴェールが織りなす〈現れ〉
自在に襞を織りなし、構造物へと結晶化するコム デ ギャルソンの衣服は、身体のフォルムから積極的に逸脱し、そしてそうすることで、逆説的に存在を現す。ここで、衣服は身体という存在にとって、道具としてあるのではない。たとえば石は、斧のような道具を製作する際、用いられて使い果たされ、その存在は消え去る。一方、石を組みあげて神殿を築くとき、そこには石を用いることで開かれる可能性の空間が立ち現れる。こうして神殿は、素材を消滅させるのではなく、むしろ現れさせる。翻ってコム デ ギャルソンにおいては、ヴェールを織りなす襞の空間にこそ、存在の〈現れ〉を見てとれるように思われる。
ケイタ マルヤマ×タイオン×ザ トウキョウ、“花or羽”柄のベストにもなるダウンジャケット