イッセイ ミヤケ 2025年春夏コレクション - 紙に触れる、質感と感覚の探究
たとえば、箱や折り紙のように、折り目から立体を生み出したジャンプスーツには、和紙の糸とレーヨン・シルクの糸を織り合わせた生地を採用。和紙の伸縮性はそのままに、より軽くしなやかさが生まれ、身体になじみながらも優雅なドレープを描いている。
大麻のタテ糸にモヘア・ウールのヨコ糸を掛け合わせた布地で仕立てたコートは、紙のように平面的に折りたたむことのできる1着。淡いラベンダーカラーは先染めによるもので、均一ではない、色味の繊細な差異が味のある風合いを生み出している。また、形も素材も"紙袋そっくり”のショッパーバッグも登場。和紙の糸で作った素材をプレスし、紙の風合いと日常使いに耐えうる耐久性を実現させた。
“触れる”感覚、"着る”行動を考える
"触れる”という感覚に意識を向けさせるようなウェアも印象的。流動的なフォルムで顔と体を覆うシアーなドレスやブラウスは、「水」そのものを一枚の布で表現したもの。
生地を内側で部分的に留めることで、水のゆらぎを思わせるようなフォルムを生み出している。触れるとあふれ、したたる水の質感と呼応するかのような、柔らかなタッチにも注目だ。また、緩やかなプリーツが身体にフィットするドレスや、紐で固定することでたっぷりとした布地の分量感を生み出したホルターネックのトップスも、テクスチャーへの集中を促すようなピースだといえる。