2017年10月24日 22:45
ミキオサカベ 2018年春夏コレクション - 自分が思う“カワイイ”の再確認
だから、例えば、チュールで重ねたドレスはトレーンを引かずに片手で裾をたくし上げてみたり、ブラウスのカフスは敢えてパンツの裾に用いたり。いい意味での崩しが効いている。むしろそうであるからこそ、あらゆる女性像がうまく組み合わさり、純粋に“素敵だ”と思える。
テキスタイルは、壁紙のイメージ。きれいな壁紙ではなくて、少し汚れた壁紙だ。無造作に張られたグリッターのテープがキラキラと輝いていて、でもそれが今季の洋服にとてもマッチしている。パンツやジャケットの中には、まるではがれた壁紙のように、裾が垂れてしまっているものもある。こうしたディテールで感じる茶目っ気が多くなるにつれて、いつの間にか虜になってしまっている気がする。
最後に登場したハートと星のモチーフが、洋服から飛び出して絡み合った2ルックは、海外ではなく立ち戻って日本の文化の象徴。これは、現代のかわいい文化の表現のようだ。あらゆる時代をタイムスリップして、試行錯誤して戻ってきた現代の洋服は、“これが日本のかわいいだ”と言わんばかりのボリュームを誇った。今シーズンのミキオサカベは、洋服に込められているものは複雑だが、でもやっぱり単純にカワイイとか自分らしくいたいとか、そういった理由で服をきることが楽しいことなんだと、ランウェイを通じて教えてくれた。