ヨーク 2022年秋冬コレクション - クリフォード・スティル、画布にふるえるポリフォニー
毛足の長いニットカーディガンやプルオーバーには、ダイナミックな色彩をジャカードで表現。また、編み方を不定形に変えたニットも登場した。一方でAラインのロングコートや丸みを帯びたシルエットのブルゾンには、さながら色面を引き裂いたかのようなブラックとホワイトのパターンを大胆に表している。
「色面を引き裂いたかのよう」に、色彩がその下層に異なる色彩を覗かせる──これはスティル作品の特徴である。そしてヨークは、これを素材のレイヤリングや切り替えでポリフォニックに表現する。トレンチコートは異なるトーンのテキスタイルを重ねて構築。ボリューミーなシルエットを描くロングコートやカーディガンでは、キルティング素材など異素材と切り替え、さながら通常のコートの表面と裏面を反転させたかのように構築した。
サイドに設けた大胆なスリットも特徴だろう。
トレンチコートをはじめ、ロング丈のコートにはサイドスリットを深くデザインして、着こなしのレイヤリングを引き立てる。と、同時にスリットからパンツのポケットに手を入れやすく、立ち止まった佇まいもまた独自の落ち着きを放っている。あるいはパンツには、ファスナー仕様でスリットを入れる。