くらし情報『現代に藤原定家の歌を伝える「冷泉家」女将が語る邸宅売却危機』

現代に藤原定家の歌を伝える「冷泉家」女将が語る邸宅売却危機

もう涙が出ました。それを発端に、京都の財界の方々の多くが支援してくださったんです」

翌’81年4月1日。異例のスピードで「公益法人冷泉家時雨亭文庫」は設立された。冷泉家の宝、いや日本の宝は、散逸を免れた。

「あそこまで追い込まれていなければ、蔵を開くこともなかったと思います。そして、それしかほかにすべがなかったとはいえ、蔵を開く勇気を持てたことが、いまにつながっているんかな」

財団の初代理事長には当主・為任さんが就任。34歳になっていた貴実子さんは、教職を辞め、財団の事務局長になった――。

2度の破産危機を乗り越えて、貴実子さんは日本最古の公家屋敷で、藤原定家が築いた和歌を守り続ける。
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