常連客の1人が散髪にやって来た。箱石さんは椅子に腰掛けたお客さんに散髪用のブーケをかぶせ、道具を準備。箱石さんのお気に入りは「眼鏡ハサミ」と呼ばれる、小指掛けのない戦前のもの。
「いまの人は小指をひっかけないと安定しない、使えないみたいですけど。私はもう80年以上、使ってる。砥ぎ砥ぎ使って、すっかり短くなっちゃった」
そして、お客さんにこう声をかけてハサミを使い始めた。
「まだ寒い日もあっから、少し長めにしときましょうね」
80年以上使ってきたハサミで、お客さんの髪を軽快に切っていく。ひげそりは、確かな手さばきでカミソリを、細かいところまでていねいにあてる。
終わったあとのお客さんの顔はピカピカだ。
手が震えたりは、まったくない。背筋を伸ばして理髪する姿は驚くほかはない。
「私は床屋しかできませんから。できるうちは続けたい。私を必要としてくれる人がいるうちはね」
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