ピアノの画家・加古隆が語る「映画音楽でもっとも大切な5秒間」
「曲の出だし5秒の“ひらめき”を捕まえることができれば、あとは経験とこれまで培ったものでなんとかなるものです。ただ、『これだ!』という“ひらめき”がすぐには出てこないこともあります」
来年’20年に公開予定の映画『峠 最後のサムライ』にも参加。メガホンをとった小泉堯史監督には、『阿弥陀堂だより』『博士の愛した数式』『蜩の記』など、これまでにも多くの曲を提供している。
「『峠 最後のサムライ』も台本を何度も読んで作品のコンセプトを理解し、言葉にならない作品のイメージをつかむことから始めました。すでに録音も終わっていますので、楽しみにしてください」
荘厳かつ澄んだメロディが特徴的な加古さんの楽曲は、一朝一夕にできあがったものではない。クラシックやジャズ、ロックなど様々なジャンルを経て行き着いたものだ。
「音楽家であれば『クラシックをやってます』『ジャズをやってます』と自分を紹介するのが普通ですが、私の場合は『音楽をやってます』としか答えようがないんです。小学生のころに友人宅で聞いたベートーベンに始まり、中学生のころはストラビンスキーに夢中になって1日じゅう聞いていました。