「雇用に国のサポートを」専門家分析するトヨタ社長発言の意図
過去最高益を出したトヨタですが、その行く末は、決して甘いものではないのです」
豊田社長はかつて「トヨタは国内生産で300万台の生産を維持します。仮に100万台減少すると、協力会社も含めて20万人の雇用が減少する。国内の事業基盤をしっかりして国際競争に打ち勝っていく」という発言をしている。
「しかし、それを維持するのは難しい。そこで『プリウス』に力を入れ、ヒット車種へと成長させたのは、なんともトヨタらしい。通常、車には一台につき約2万点の部品が必要になりますが、ハイブリッド車はガソリン車と電気自動車の両方の機能を備えるため、その分、部品点数も多くなる。その部品を製造する関連企業や下請け会社にとっては、雇用を生み出す車なんです」
だが今後は、電気自動車が主流となっていく。
「電気自動車は部品点数が少なくなるうえ、エンジンもトランスミッション、排気のパイプなど、従来の部品は不要。
しかも組み立ても簡単になり、工場の人員を減らさざるをえないのでしょう。社長発言は、関連企業や下請けの工場などにも“雇用は守れない”と警告しているのだと思います」
『トヨタだけが知っている 早く帰れる働き方』著者で、経済・経営ジャーナリストの桑原晃弥さんは、このような分析だ。