税金濫用の放漫経営…全国の公立病院“閉院寸前”の赤字実態
自分の診療科のベッドが埋まっていれば、他科のベッドを調整することなく入院を断ってしまう。患者目線を失った“放漫”な経営に、遠山さんも危機感を抱いたという。
「たとえば国際がんセンター(大阪市)は、現在は紹介状がなくても、たとえ駆け込みでも受診できるように改善しました。救急外来のお断りもしないようにしています」
医師の個人的な都合で入院を断ることがないよう、ベッドコントロールは、医師や看護師ではなく、地域医療連携室が担当することにした。
「まだ部長クラスまでですが、年功序列ではなく、各病院ごとの経営状態によって給与を変えています。真面目に働いた人が、きちんと報酬を得られるようにすれば、モチベーションも上がり、患者に寄り添った診療を可能にすることができます」
こうした施策の結果、大阪府立病院機構の5病院で130億円あった赤字を、約半分まで減らすことができたという。
税金濫用の経営体制を病院が改めなければ、私たちの身近な公立病院は、どんどん消えていってしまう。