香山リカ×坂東眞理子「雅子さまが乗り越えられた苦しみ」
香山「天皇陛下は、本当に皇室を変えたいというご意思で、『あなたのような人が必要です』と、雅子さまを強く説得なさったのだと思います。おそらくご実家の小和田家のほうでも、『そこまで殿下がおっしゃってくださるんだから、きっとあなたの能力が必要とされているんだから』ということで、雅子さまは皇室に嫁がれたのでは……。ところが、皇室という場所では、やはり男子を産むことを最優先に求められたのだと思います」
坂東「ご自身が力を発揮なさりたいと思っていらした国際親善の場で、十分なチャンスを与えられない。一方で周囲から期待されている役割を果たしていらっしゃらないというプレッシャーは、想像を絶するものがあったと思います」
香山「当時は皇太子だった天皇陛下が『雅子の人格を否定するような動きがあったことも事実です』という発言をされて、話題になりましたが、当時はモラハラという概念は浸透していなかったので、『人格を尊重しない』というのも、どういうことか理解されなかった。だから『お世継ぎを産むということを成し遂げていないのに、人格がどうとか言われても』という批判の声が上がっていた。マタニティハラスメントの先駆ですよね。