くらし情報『「75歳以上自己負担2割」見送りも…医療費財政が抱える問題』

「75歳以上自己負担2割」見送りも…医療費財政が抱える問題

(政治部記者)

だが、負担額引き上げの見送りは“一時的”なものにすぎないと加谷さんは語る。

「’17年度の国民の医療費は総額で43兆710億円。政府の年間の基本的な予算である『一般会計』の予算規模は100兆円ですから、“国家予算の約半分”と考えると、どれほど巨額かがわかります。このうち半分を国民からの保険料収入でカバーし、残りを窓口での自己負担と一般会計などからの税金で補填しているのですが、保険料を納める現役世代の人口減少が止まらない。しかし、医療費がかかる高齢者の数はどんどん増えていく……。もはや何かしらの施策をとらなければ、“いつでも、だれでも医療のサービスが受けられる”という医療制度は維持できない、と政府も認識しているはずです」

さらに政府の予想をはるかに超えるような少子化も、これから先の医療費問題に追い打ちをかけているーー。

「従来の人口予測や、政府が発表している“かなり甘め”な経済予測を前提に、現状の物価ベースで試算しても、医療費はこれから20年で約10兆円上がる計算です。こうなると、いよいよ現行では財政が立ち行かなくなる。
解決策の一つとして、政府は現役世代の給料から天引きされる『保険料率』を段階的に引き上げるのではないでしょうか」

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