くらし情報『コロナで“老舗弁当の味”残せず「木挽町辨松」152年の歴史に幕』

2020年5月18日 11:00

コロナで“老舗弁当の味”残せず「木挽町辨松」152年の歴史に幕

コロナによって東京の食文化の1つが失われてしまったみたいで……、寂しいです」

約15年前、先代の父親から店を引き継ぎ社長に就任した猪飼さん。毎朝4時に起きて弁当作りを続けてきた。しかし、70代が目前に迫るなか「元気なうちに、店を誰かに譲りたい」と考えるようになった。昨年夏、本格的に譲渡先探しを始め、ある企業と交渉を続けていた。本来なら4月にも、譲渡契約を締結する運びだった。

ところが、そこに新型コロナウイルスの感染拡大が襲う。歌舞伎座の公演が7月まで中止・延期になって、売り上げの6割ほどを占めていた歌舞伎関係の注文がなくなった。今年3月の売り上げはいつもの月と比べ8割近くも落ち込み、譲渡契約はあえなく破談に。


「店ののれんと、味を残すことができなかったこと、なによりそれがいちばん悔しい」

猪飼さんは無念の思いをこうもらした。

そして、閉店時間の午後5時。4月にしては冷たい雨がそぼ降るなか、猪飼さんと幹部ら3人が店頭に姿を見せた。そして、万感の思いをかみしめるように、歌舞伎座に向かって深々と頭を下げる。こうして木挽町辨松は、152年という長い歴史に幕を閉じた。

閉店から1週間ほどが経過した4月28日。

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