繰り下げ上限75歳に…余裕あれば、年金「72歳繰り下げ」が得
「繰り下げ受給は年に8・4%の増額となるので、70歳まで繰り下げると、最大42%の増額です。65歳で年額150万円のケースだと、年間の受給額が213万円にアップ。月額にして約18万円になります。この金額であれば、年金だけで夫婦2人の生活費をなんとかカバーすることができます。そのため私は、これまで70歳からの受給開始をすすめてきました」
それが、75歳まで繰り下げが可能となることで、長尾さんがすすめる受給開始のタイミングも変わってくるという。
「がんなどで余命を宣告された人は60歳から受給を開始するという選択もあります。しかし、多くの人にとっては、“72歳で受給開始”がベストな選択というのが私の試算です」
長尾さんはその理由として、3つの観点を挙げる。
【1】長生きしたときの“受給総額”
「95歳時点での総受給額を見ると、72歳以降の総額はすべて5,700万円台。
それほど大きな差は発生しないのです」
【2】65歳からの“平均余命”
「年金は受給を遅らせれば遅らせるほど、月々の支給額が多くなります。その損益分岐点は11~12年。つまり、受給開始から11~12年で、65歳で受給開始したよりも総額がアップする、ということです。