2021年8月20日 06:00
「患者を治し切るのは無理…」訪問診療医を絶望させた自宅療養の実情
(写真:アフロ)
新型コロナウイルスの新規感染者が爆発的に増え続けている東京。当然、医療機関の病床は逼迫。それに伴って、1カ月前には1千人台だった都の自宅療養者数は、8月12日時点で2万人を超えた。
東京では、7月下旬以降、自宅療養中の容体急変による死者も相次いでいる。
自宅療養中に容体が急変し自ら救急搬送を要請、病院に搬送されたもののその日に亡くなった50代女性の例。軽症で自宅療養を続けていた基礎疾患のない30代男性が一人暮らしの自宅で亡くなっていた例。自宅療養中に倒れているのを同居家族が見つけ、その後死亡が確認された50代男性の例――。
「本当に、明日亡くなるんじゃないかという現実があります」
8月中旬本誌の取材に応じてくれたのは、東京都大田区で訪問診療を行っている、ひなた在宅クリニック山王の田代和馬院長。
田代院長は、自身が診ている患者のなかに、いままさに危篤状態の人がいるという。
「その方は80代後半の男性です。ワクチンの1回目を打って、2回目の接種を待っている状態でした。8日前に発症してから、入院場所を調整していたんですが、なかなか見つからないうちに、昨日容体が急変しました。