2021年12月28日 15:50
爆発物探知犬を育成・派遣する会社を設立 川野悌子さん夫妻の二人三脚
先をゆく悌子さんの成長ぶりに驚かされる一方で、頼もしくも感じていた。
「男の僕ができることと女性の彼女ができることの分野が違います。僕は噛まれ役とか力を使ったトレーニングができますけれども、彼女はコミュニケーション能力を生かしてハンドラーとしてだけじゃなく、会社の“顔”にもなれると思ったのです」
2004年、2人は東京で家庭犬用のスクールビジネスを始めた。当時、犬のしつけの学校は日本では未開の試みだった。そのうちにこの事業への投資をしてくれる有力者も現れ、事業は順調に拡大していくかに思われた。ところが事業経験のない悌子さんにとって初めての試練が訪れる。
■事業が暗礁に乗り上げて店舗を閉める日、残ったのは家族だった
「犬の総合トレーニング施設を作ってほしいという計画が私のところに来て、数千万円単位の出資がもらえたんですね。今振り返ると、経営の経験ゼロで知識もない私が社長業なんてできるわけがなかった。
でも、あの時は自分には何でもできると勘違いして、調子に乗っていましたね」
隣にいる信哉さんも、「あの時はひどかったよね」とうなづく。
出資者が有名な実力者だったこともあり、いろんな人が近寄って持ち上げられた。