2021年12月31日 11:00
「娘を捨てたことをずっと後悔されていた」美輪明宏偲ぶ瀬戸内寂聴さん
(撮影:御堂義乘)
「寂聴さんは99歳でしたから、あと少しで100歳だったのに……悲しいですね」
そう語る美輪明宏さん(86)。今年11月9日に亡くなった作家で僧侶の瀬戸内寂聴さん(享年99)との思い出を振り返るーー。
■愛を貫き通した寂聴さんとはお互いに「双子じゃないか」って
昔から愛をまっとうされる方や、信念を貫き通す人物はいました。それがスキャンダルになったり、後世に伝えられるような伝説になることもあります。
たとえば、『花子とアン』のモデルになった柳原白蓮をはじめ、与謝野晶子や岡本太郎さんのお母さま、岡本かの子さんなどもそうです。政治家では、婦人参政権獲得運動を牽引した市川房枝さんのような“烈女”は、たまに現れます。
その流れをくむ方が、先日お亡くなりになった瀬戸内寂聴さんでした。
寂聴さんとは50年以上前に出会いました。
何かの取材で、私のマンションに、まだ無名だった寂聴さんがいらっしゃって、インタビューを受けたのが最初でした。
そのとき、三島由紀夫さんにファンレターを出されて、「ていねいなお返事が来た」と感動されていたことを今でもよく覚えております。
寂聴さんは私より13歳年上でしたが、モダニズムの時代、戦中、戦後をともに生きてきました。