親が認知症になると実家売却できないケースが 発症前の「家族信託」のススメ
親が認知症になってしまうと、ただでさえ大きな精神的ショックを受けるものだが、じつはお金の面でも「財産凍結」という衝撃的な事態が起こってしまうのだ。老親が健在なうちにしっかり対策を取っておこうーー!
「高齢者が保有している財産が、本人の判断能力の低下によって使えなくなる、動かせなくなることを、財産の『凍結』といいます。具体的には、預貯金の引き出しができなくなるほか、定期預金の解約、株式や投資信託などの売却も難しくなります。不動産の売却やリフォームも同様です。こうした凍結は認知症に限らず、脳梗塞や事故の後遺症などによって判断能力を失ってしまったケースでも起こりえます」 こう語るのは、『親の財産を“凍結”から守る認知症対策ガイドブック』(日本法令)の著者で、司法書士法人ミラシア、行政書士法人ミラシア代表社員の元木翼さん。
「認知症になって自宅での生活が難しくなったら、自宅を売却したお金で介護施設に入りたい」「空き家になっている母名義の実家を今のうちに売却したい」などと考えている人は多いだろうが、親が認知症になってからでは自宅の売却やリフォーム、建て替えだけでなく、自宅を担保にした借り入れもできなくなる恐れがあるという。