親が認知症になると実家売却できないケースが 発症前の「家族信託」のススメ
このようなトラブルを避けるために利用する人が増えているのが「家族信託」だ。
家族信託とは、判断能力があるうちに財産などの管理を家族に託す制度のこと。財産の管理を託す親が「委託者」、財産を預かり管理する子どもなどが「受託者」となり、委託者と受託者の間で信託契約を結ぶことになる。
「相続や信託に詳しい司法書士などが書類を作成したうえで、公証役場に出向いて公正証書で信託契約を交わすのが一般的です。信託財産は自宅だけでなく、預貯金や金融商品なども対象にできます。子どもが受託者になるので、毎月支払う報酬は普通設定しませんが、専門家に書類の作成を依頼するなどの初期費用が必要になります。相場は信託財産の1%程度で、このほかに公正証書を作成する費用や登録免許税がかかります」
そう話すのは司法書士法人ミラシアの司法書士、永井悠一朗さん。
たとえば、親が「認知症になったら自宅を売却したお金で介護施設に入りたい」という希望を持っている場合の手続きは次のとおり。
(1)親が持っている資産を洗い出したうえで、使う目的を明らかにする。(2)司法書士などの専門家が、家族と話し合いながら信託契約書を作成する。