2022年5月15日 06:00
男たちは妻や幼い我が子を手にかけ…沖縄を襲った集団自決の真実
米軍上陸前夜。島民たちはパニックに陥りながら、死に向かって突き進んでいた。
「3月26日の朝、家族とともに防空壕に逃げ込んだ50代の男性。彼は坑木に通したロープを家族一人ひとりの首に巻きつけ吊るし上げ、妻や子どもたち9人を手にかけました。なかには6歳と3歳の孫もいた。自分だけ生き残ってしまった彼は壕の入口で、錯乱状態で泣き続けていたといいます」
死ぬ方法も、さまざまだった。殺鼠剤を回し飲みする島民もいた。「この量では死ねない、もっとよこせ」という者もいれば、嫌がる子どもの口に黒糖を混ぜた殺鼠剤を、無理やり押し込む親もいた。
「殺鼠剤を飲み、もがき苦しむものの死にきれない家族を、棍棒でめった打ちにし、さらに小屋に火をかけ、その中に娘を放り込んだ父親もいました」
学校職員の壕では、軍から支給された手りゅう弾が使われた。
「教師の投げた手りゅう弾が当たって、首を深く切った少女がいたそうです。近くにいた女性が血まみれになりながら介抱し水を飲ませると、飲み込んだ水が首の裂け目から勢いよく漏れ出ていたと。様子を見ていた少女の母親は瀕死の娘を見捨て、まだ元気なほかの子どもを連れて壕を後にしてしまうんです。