2022年8月7日 06:00
【御巣鷹山から37年】「なぜ、救助は翌朝に?」天国の夫に誓う墜落の真相究明
では主演の渡辺謙が航空会社社員として遺族の世話役を演じた。
夫の雅男さんはその犠牲者であり、吉備さんは遺族となったのだ。
「4カ月間、私は遺体安置所で、身元不明の部分遺体をひとつずつ手に取って、主人を捜しました。でも主人は手も足もバラバラで、ぜんぶは見つかりませんでした」
9月の誕生日で満80歳となる。昨年は大腸がんの摘出手術をした。さらに先天的な股関節脱臼で激痛があり、歩くのには杖が必要だ。
そんな吉備さんが日航に対し、民事訴訟を東京地裁に起こしたのは、2021年3月26日のこと。当初、この7月に判決予定だったが、8月25日の口頭弁論を経て、9月以降になる見込みだ。
「墜落機のボイスレコーダー(音声記録装置)とフライトレコーダー(飛行記録装置)の生データ開示請求」が趣旨だが、なんと発生から36年、日本では同事故の裁判が一度も行われてこなかった。それを、なぜいま吉備さんが、ひとりで闘おうとしているのか。
「ひとえに、主人がなぜ亡くならなければならなかったのかの事実、真実を知りたいだけなんです。
今日の今日まで、日航から直接、事故原因を説明されたことなど、一度もないんですから」