コロナ感染リスクも増加…免疫力低下招く「睡眠負債」とは?

睡眠時間は長さだけでなく熟睡できているかが重要(写真:アフロ)
季節の変わり目に夏の疲れがドッと出て、なかなか寝付けないという人も多い。
「睡眠不足や睡眠障害は、不調やさまざまな病気のもと。よい睡眠を取るためには時間の確保はもちろん大切ですが、たくさん寝ればいいというものでもありません。睡眠の質を高めることがとても重要なのです」
そう語るのは、米スタンフォード大学医学部精神科教授の西野精治先生。西野先生は睡眠・覚醒のメカニズムを研究している。西野先生が提唱しているのは“睡眠負債”という考え方。慢性的な睡眠不足の状態が続き、その負債が蓄積して、心身ともに支障をきたしている状態のことを指す。
一般的に適切な睡眠時間といえば、個人差もあるが7時間前後とされている。
たとえば、いつもの睡眠時間が7時間という人が5時間しか熟睡できていない日が1週間続いたとすると、14時間の睡眠負債を抱えることになる。
「睡眠負債が蓄積すると、免疫力が低下し、感染症のリスクが高まります。新型コロナウイルスを含め、感染症と睡眠には深い関係があり、睡眠が十分でないとワクチンを打っても抗体ができにくい、感染した場合に回復が遅くなり重症化しやすくなる、といったことが指摘されています」