2023年2月4日 06:00
製作費は赤字、クレーム電話が殺到…それでも北九州の衣装店が“ド派手成人式”を支え続ける理由
当時、男の子の羽織袴は黒が一般的で、せいぜい赤や青があったくらい。でも衣装の取引先が10社あったので、さすがに聞けばあるかなと思って軽い気持ちで引き受けました」
しかし、金と銀の羽織袴を用意できるか取引先に問い合わせたところ、全社から断られてしまう。
「どうしようかと頭を抱えていましたが、彼らは衣装を着られると思っていましたから、金さんは建築関係の仕事で働いて、銀さんはアルバイトをしてコツコツ貯めたお金を『今月分です!』と毎月お店に持ってきてくれていたんです。
そんな姿を見ていたらやっぱり断れなくて……。なんとかして羽織袴を用意したいと思い、一から作ることに決めました」
それから池田さんは、スタッフと共に生地と糸をなんとか探し出し、取引先に羽織袴のサンプルを作ってもらったという。そして、ついに何度も修正を重ねて、やっとの思いで世界に一つだけの「金と銀の羽織袴」を完成させた池田さん。本人たちに見せると「思い描いた通りだ!」と大喜び。
「成人式が終わると2人は、自分たちがどれだけ目立っていたかを嬉しそうに話してくれました。
その姿を見て、やっぱり頑張って作ってよかったなと思いました。