2023年3月14日 14:30
大江健三郎さんが死去 最後の長編小説後に本誌が目撃した「神経症療法」病院通い
18年7月、自宅から都内の大学附属病院へ向かう大江健三郎さん
小説家の大江健三郎さんが老衰のため亡くなったと3月13日に発表された。88歳だった。
’57年に作家デビューした大江さんは、その翌年、「飼育」で芥川賞を受賞。その後も数々の賞に輝き、’94年には川端康成に続いて日本人で2人目となるノーベル文学賞を授与された。
大江さんの訃報に際し、追悼する声が相次いでいる。
映画監督の山田洋次氏(91)は《物事を考える上で、正しい指針を与えてくれる人がいなくなってしまった不安と悲しみに包まれています》とコメント。
また作家の平野啓一郎氏(47)はTwitterで《本当に残念でなりません。大江さんが活躍されていた時代に小説家としてデビューして、謦咳に接したことは、掛け替えのない経験でした。
もっとお話ししたかったです》と綴っている。
そんな大江さんは’13年10月に長編小説『晩年様式集 イン・レイト・スタイル』を上梓。以降、新しい小説を発表しなかったが、’17年7月当時、知人は本誌に82歳の大江さんが執筆できずに苦悩していることを漏らしていた。
「大江さんは『晩年の仕事をどう完結させるのか』と葛藤を抱え続けており、近年は『もう書けないかもしれない』と悩んでいたそうです。