2023年5月14日 06:00
全国47都道府県制覇の「旅するおむすび屋」同じ釜の飯を握るワークショップ通し人の縁をむすぶ
思い返せば福岡名産の明太子ですから、私も知らずに地元の味を食べていたんですよね」
拒食症のことを、今では子供たちの前で話すこともある。
「病気は苦しかったですが、悪いこととは思っていません。営業の仕事もですが、どんなつらいことがあっても、何かの糧になることを身をもって体験したからです。私は食べることで苦悩しましたが、また食べることで救われました。だから、食を通じての恩返しも続けていきたいんです。学校をまわるのも、子供好きもありますが、やはり自分の体験から、幼いうちから食の大切さをわかっていることが大事なんだ、との思いも強いです」
香川のワークショップもそうだったが、どこか素朴で、手のひらにのるほどのおむすびを前にして、誰もが笑顔に、饒舌になる。
「『同じ釜の飯』とはよく言ったもので、共に食卓を囲むことで食も進むし、仲よくなれます。そして、地域のみなさんには、おむすびをむすぶことで、人の縁も結んでほしいと思うんです」
■独立したと思ったらすぐにコロナ禍に。
SNSで声がけしてもらい、新しい縁も広がった
〈旅できなくなったおむすび屋さん〉
香菜さんのツイッターに、こんな一文が出現して仲間やファンを心配させたのは3年ほど前のこと。