2023年5月14日 06:00
全国47都道府県制覇の「旅するおむすび屋」同じ釜の飯を握るワークショップ通し人の縁をむすぶ
知らない土地を訪ね、そこ特有の食文化を知るのが楽しかった。
「おむすびって、ハレの日の食事ではないから、地域のお母さんたちにとっては当たり前すぎるのか、『文化を残さなきゃ』という思いも少ないんですね。でも、そんな当たり前の食べものにこそ、その土地の知恵と愛情が詰まっている。一緒におむすびを握って私が喜んでいるのを見て、お母さん、おばあちゃんたちも、また喜んでくれている……それが新鮮な発見であり、素直にうれしかった」
各地をまわると、小さな島国にもかかわらず、実に多様でユニークなおむすびがあると知らされた。
「海のない県では、海苔の代わりに高菜や紫蘇で巻いたおむすび。青森・津軽の巨大な卵のようなおむすびを包むのは昆布だったり。徳島のスダチごはんや沖縄の炊き込みごはんジューシーを握ったり、岩手の雲丹たっぷりのカゼ飯を握るというぜいたくな味わいのおむすびもありました」
全国をまわり、さまざまな出会いを重ねるなかで、香菜さん自身も自分の故郷を思い出していた。
「拒食症になる前の中学時代、母が部活用に持たせてくれたのが、明太マヨネーズのおむすび。
アルミホイルをほどくときが楽しみでした。