年収の壁 パートで130万円稼ぐと損する…政府が対策も労働者への補助なし
政府が“年収の壁”対策を検討しています。改めて、基本のキから振り返ってみましょう。
まず大前提から。会社員の妻は、収入が一定額以下の場合、夫の社会保険の扶養に入ることで保険料負担なく社会保険に加入できます(男女の立場が入れ替わっても同様)。
しかし、妻の収入が一定額に達すると、妻は自分名義の社会保険に加入する義務が生じます。加入すると保険料を払うので、加入前より手取りが減る。これが社会保険に関する年収の壁です。保険加入ライン以下の年収に抑えるため労働時間を調整する方もいて、年末などに労働力が不足する企業が多いという問題もあります。
現在、こうした壁は106万円と130万円の2種類あり、政府はそれぞれに対策を講じる方針です。
【1】106万円の壁
従業員などが101人以上の企業に勤め、週20時間以上の勤務、月収8万8千円以上などの条件を満たすと、勤め先の健康保険や厚生年金への加入が義務になります。
たとえば月収9万円(年収108万円)だと、社会保険料は年約15万円。年収108万円から保険料を払うと手取りは93万円と加入前より減ってしまうため“働き損”と感じる方が多いようです。