宮﨑駿監督 捧げ続ける『ナウシカ』製作中に逝去した病弱母への愛…新作映画にも投影
多くの人が議論できる、深みのある作品です」(よしひろさん)
■母親の姿を追いかけていた宮﨑監督
『君たちはどう生きるか』には、美しい風景描写、走るシーンの躍動感、食事シーンへのこだわり、反戦メッセージといった、これまでの宮﨑作品の要素が詰め込まれている。
「宮﨑映画の集大成といいますか、監督が『やりたいことを全部やった作品』という印象を受けました」(有村さん)
主人公は牧眞人(まひと)という少年で、入院中だった母親を火事で失い、軍需工場を経営する父とともに東京を離れるところから物語は始まっている。
「宮﨑監督も主人公の少年と同じように戦時中の疎開経験があり、お父さんは航空機部品製造会社を経営していました。主人公は監督をモデルにしているのでしょう。
過去の宮﨑作品の多くでは女性がキーパーソンになっており、それは監督が母親の姿を追いかけていたからだと思います。『君たちは~』にも、そういった女性が登場します」(よしひろさん)
多くの要素が複雑にからみ合うこの作品で、際立っていたのが、主人公の生母と継母の存在感だ。
映画関係者はこう語る。
「宮﨑監督の母、美子(よしこ)さんは病弱でした。