「もっと長生きできたのに…」コロナ“第9波”に直面する高齢者施設の厳しい実情…PCR検査できず薬も不足
の副会長で、社会福祉法人「鶯園」(岡山県)常務理事の小泉立志さん。
幸いなことに、「重症化する入居者はほとんどいなかった」と小泉さんは言うが、昨年12月から、わずか2ヶ月で約2万人が死亡した第8波では、死者の約8割が70代以上の高齢者だったことを考えると油断はできない。
実際に、大阪府内の特別養護老人ホームに勤める看護師の吉川えりさん(仮名)は、「7月に入って何人も看取っています」と、クラスターの様子をこう明かす。
「7月初旬にパラパラと発熱する方が出始めました。5類移行後は、行政による積極的なPCR検査がなくなって、抗原検査で陰性だけど発熱が続いている方など、限られた方しかPCR検査が受けられない状況になっています。そのため、あっという間に感染が広がって、7月中旬には50名の入居者中、40名以上が陽性になってしまったんです」
吉川さんによると、軽い症状ですむ人も少なくないが、罹患したうち1割は急性期で悪化し、そのうち同じく罹患したうち1割が1ヶ月後くらいに衰弱して亡くなるという。「8月の上旬にようやくクラスターが収束しましたが、結果的に3人お亡くなりになって、あと2人は看取りが近い状態です」