「もっと長生きできたのに…」コロナ“第9波”に直面する高齢者施設の厳しい実情…PCR検査できず薬も不足
吉川さんは、「クラスターさえ発生しなければ、もっと長生きできたのに」と悔しい思いをにじませる。
「お亡くなりになったお一人は90代の男性でした。コロナに罹患するまでは、自分で食べて、歩いて、とてもお元気でした。けど、コロナに罹患してから高熱が続き、解熱剤の点滴をしていたんですが、近所の薬局で在庫が切れて。系列の薬局でも手に入らず、熱を下げることができませんでした……」
体力の衰えた高齢者は、数日高熱が続くだけでも命取りになる。その男性は、数日後に息を引き取ったという。
「もうお一人の90代女性も非常にお元気でしたが、コロナに罹患後、衰弱。入院を勧めるも〈ここで看取ってほしい〉と入院を拒否されて。
数日後に息を引き取りました。数日入院すれば回復の見込みはあったのですが……」
少し前までは、コロナに罹患しても入院を希望する高齢者が多かったというが、「コロナ禍が続き、利用者さんにも“あきらめ”ムードが色濃くなっている」と吉川さん。
コロナに罹患した高齢者を看取る度に、こんなやりきれない思いがこみ上げる。
「できるだけウイルスを施設に持ち込まないためには、職員を含めた積極的なPCR検査が必須です。