「ずっと私をたしなめてほしかった」三回忌追悼企画“いま寂聴さんに願うこと”
私も同行して天台寺の法話を聴きましたが、本当にお上手で。
『大勢の人に話すときは、1分に1度は笑いをとらなきゃダメです。吉本興業のタレント並みの技術がいります』と、おっしゃっていました。偉ぶった話ではなくて、生きること・死ぬことを楽しく話すところが素晴らしかったです。瀬戸内さんの『言葉のお薬』で、自殺をやめた人もいるんです」
寂聴さんが救ったのは、法話を聴きに来た人々ばかりではない。
「当時、僕も出演していた『笑っていいとも!増刊号』に、瀬戸内さんが来てくれることになったのです。ところが前日になって『(東京には)行かない』と。
大麻事件の後、ショーケン(萩原健一さん)が京都・寂庵に逃げ込んだことがありました。
何の付き合いもなかった彼を瀬戸内さんが匿ったのです。ショーケン自身が自分の居場所をメディアに知らせてしまったそうで、報道陣が寂庵に集まってしまって……。
中を撮影しようとしたテレビクルーを、瀬戸内さんはホースで水をかけて追い払った。そのなかにフジテレビのクルーもいたそうで、瀬戸内さんが『そんなテレビ局の番組には断じて出ない』と」
ディレクターに頼まれた嵐山さんは、東京に来て番組に出演してもらうために、寂聴さんに電話することになったのだという。