【追悼’23】坂本龍一さんが語っていた「政治の暴走」「憲法改正」「子どもたちの将来」
自然に対する畏敬の念、かなわないという気持ちは強くなりました」
自身の信念や知識、自負が揺らぎ、改めて人間が持つ本来の性質“本性(ほんせい)”を見つめなおすことになったという。そして、日本のナショナリズムについても、人間の本性により注意しなければならないと懸念した。
「このままいくと、憲法改正です。その後は徴兵制になって、戦争に突っ込んでいって——。あなたたちのお子さんが兵隊に取られて死ぬんですよ、と。それがわからない人は、そんなに多くないはずなのに、あまりにも巨大な歯車が回っていて、ひとりでは止められないとなると、その問題から目を背けてしまう。こういう弱さも、ある意味、人間の本性なんじゃないかと思うんです。でも、本性だからどうしようもないとあきらめてしまったら、政治の暴走を認めてしまうことになるんですよね」
「僕だって、自分が生まれ育った国を愛していますよ。
ある意味、いま日本をズタズタにしている人たちよりも、僕ははるかに“愛国主義者”だと思う。でも、“ナショナリスト”ではありません。日本は素晴らしいけど、他国はダメなんて思わない。お互いの違いをリスペクトしあって、生きていきたいです」