「今年ほどクマ被害が多い年は無い…」専門家警鐘の“異常出没”東京でも油断できない現状
なぜ、冬になっても被害が後を絶たないのだろう。ツキノワグマに出会うこと3000回以上にのぼる米田さんがこう解説した。
「クマは、秋に栄養をたくさんとって、皮下脂肪を蓄えたうえで、早くて11月頃には土の穴や木のうろなどに潜って翌春まで過ごします。ところが、今年は夏から秋にかけての酷暑と小雨が影響し、クマが食べる木の実などが凶作になり、十分に食べられていないクマがエサを求めていまだに動いている可能性があります」
さらに、暖冬の影響もあるという。
「クマは、一面が雪に覆われるような積雪があるとスイッチが入ったように冬眠に入ります。雪が降り積もると、エサをとることができないため、ムダなエネルギー消費をしないように“冬眠スイッチ”が入るのです。実際に23年に被害が多かった北海道や北東北では、積雪とともにクマの被害はなくなっています。しかし、北陸、関東、東北でも太平洋側では、暖冬の影響で雪が降り積もることはありません。
そのため“冬眠スイッチ”が入っていないのです」
米田さんによると、暖冬の影響で、1月まではクマの出没や人的被害は起こる可能性が高いという。
「暖冬で雪が降らない地域では、冬でもサルナシなどの木の実を探して山里を歩いたり、上流から流れ来たクルミやクリ、ドングリをたどってきて市街地の川沿いでの出没も増えるでしょう。