【n番部屋事件】「お兄さん」の要求は次第にエスカレートして…信頼を悪用するグルーミングの手口
時とともに犯罪手法は進化する。現在限定的に許容されている「機会提供型」だけでは、犯罪手法の変化に対応して犯人を検挙するのは難しいということだ。
すでに多くの国でデジタル性犯罪に関するおとり捜査を許容しているが、韓国ではいまだに激しい議論がある。おとり捜査で犯人を検挙して起訴しても、それは刑事手続きに問題があると言われてしまうのだ。たとえば、15歳の少女を名乗って「泊まる場所を探しています」とチャットルームに書き込んだとしよう。すると、これは「犯意」を誘発するため違法になる。善意の者の犯意を誘発したというわけだ。つまり、現在の韓国法では成人が子どもに不適切な感情を抱くことを未然に防げず、被害が発生するのを待つのと同じことになる。
児童・青少年を保護するためにも、ぜひとも性犯罪に関するおとり捜査を導入すべきだ。これまで性犯罪は、問題が発生してからその対応に追われていた。今回も同様だった。将来、もう1つのn番部屋事件の発生を防ごうと思うなら、未然に犯罪を防ぐための法律を作らねばならない。
【PROFILE】
追跡団火花(ついせきだんひばな)
プルとタンからなる匿名の大学生2人で構成された取材チーム。