【n番部屋事件】で終わりではなかった…知人の写真を合成してもてあそぶ“新たな犯罪部屋”の実態
それでも、SNSのメッセンジャー機能を通じて私たちの活動を紹介し、被害事実を伝えていった。あなたの写真が数千人のユーザーがいるルームでセクハラの対象になっているということを伝えなければならないのだが、なかなか話を切り出せなかった。それでも知らせる必要があった。思い当たる人物がいるかを尋ね、警察に通報することを勧めた。しかし、勇気を出して各地方警察署に通報した被害者たちは、こう口をそろえた。
「警察に言ったら、テレグラム内での犯罪行為は令状の発付もできないんだそうです。加害者を捕まえることはできないと……」
■知人の中から犯人を特定する方法
――加害者を捕まえられないなら、むしろ知らない方がいいのではないか。いたずらに知らせて、被害者を苦しめるだけなら、いっそやめた方がいいのかも。
そう悩みながらも、取材の過程で知ったある被害者のケースがずっと心にひっかかっていた。被害者Aの写真はひっきりなしにアップされ、数百枚にも達した。Aは、700人を超える参加者が見物するチャットルームに無防備なまま放り込まれた犠牲者だった。運営者は自らを被害者Aの友人と名乗り、Aの写真と個人情報を流布していた。