鳥羽一郎の衣装は7,500円。6年連続総合司会が語る「紅白」90年代ベスト場面3
そんな舞い上がっていた僕に平常心を取り戻させてくれたのが鳥羽一郎さんでした。紅白歌合戦という舞台は非日常の世界。豪華絢爛な衣裳の歌手の方々が多いなか、鳥羽さんは、ねじり鉢巻きにTシャツ、ジーンズ、長靴という、いつも見慣れている姿であらわれました。漁村にいるオジサンそのものの衣裳一式で7,500円。
鳥羽さんの『オレは海の男だ。海の男の正装で行くんだ』という気概。その男っぷりに惚れましたね。舞い上がっていた僕の気持ちを『平常心で行くんだ』と気づかせてくれ、冷静さを取り戻せてくれました」
■思わず「バイアグラ」と……。
故・中村勘三郎さんでさえ感じていた司会のプレッシャー!
‘99年の第50回。白組の司会は、この年、大河ドラマ『元禄繚乱』で主演をつとめた故・中村勘九郎さん(のちの中村勘三郎)。総合司会として、一緒にステージを作り上げた宮本さんが語る。
「勘九郎さんは、紅白の舞台であるNHKホールをあたかも歌舞伎座のように使いこなして、独特な雰囲気に飲まれることなく振る舞われていました。そんな勘九郎さんでもかなり緊張していたのでしょう。故・西城秀樹さんの『バイラモス』という曲で出場していたのですが、それについて相談されたのです。