能登地震 復興の過程で懸念される「予備費の“中抜き”」と「“便乗”改憲」
「ひとつには、道路の陥没がひどく、修復が遅れていることが影響しています。私が被災地を訪れたときも、タイヤが道路の亀裂にはまってパンクする車両が続出しました。そのため、支援の手が行き届かない。本来は、いち早く自衛隊がヘリで物資などを輸送すべきですが、命令が出ない限りは動けないため、対応が遅れたのです。岸田首相は、災害規模を甘く見ていたのではないでしょうか」
被災地で必死の捜索が続いていた5日、岸田首相は3つの新年会に連続で出席。危機感の欠如を批判された。被災地を視察したのは14日になってからだった。
政府は来年度予算案に盛り込まれた予備費を、現状の5千億円から1兆円に倍増させ、“復旧と復興”のために使う方針だ。
予備費とは、災害や金融危機など不測の事態に備えて、使い道を決めずに毎年度の予算に計上するお金のこと。
社会保障と税に詳しい鹿児島大学教授の伊藤周平さんは、「復興以外のことに流用されてしまう可能性がある」と懸念を示す。「コロナ禍では、計上された14兆円を超える“予備費”のうち9割が使途不明になっています。というのも、予備費は国会の審議を経ずに使途が決められるため、復興とは関係のないものに流用されていてもわからないからです」