能登地震 復興の過程で懸念される「予備費の“中抜き”」と「“便乗”改憲」
政治部の記者はこう語る。
「自民党は、当面の改憲の目的として4項目を挙げていますが、そのうちのひとつが緊急事態条項です。しかし、首相が“緊急事態”を宣言すると、国民はすべて政府の指示に従わねばならず、さまざまな懸念が示されています。
たとえば政府が、〈救助活動を妨げる報道やインターネット情報は規制する〉という政令を出せば、情報は遮断され、政府に都合の悪い情報は隠されてしまう恐れもあります。
また、緊急時に国会議員の任期を延長できるようにしようという動きもありますが、これが悪用されてしまった場合、 “ずっと緊急時である”とそのときの政権が主張して、権力の座に居座るような事態も懸念されています」
前出の木村さんは、「災害対応の中心は自治体であり、中央政府への権限集中が役立つとは考えにくい。日ごろからの自治体の備えが重要」としたうえで、こう指摘する。「災害対策に関心が薄い人が政権を握っている場合、かりに緊急事態条項によって政府に権限を集約しても、むしろ逆効果になる可能性もあります」
予算がしっかりと復興のために使われるか、震災を利用した強引な改憲が進められないか、我々が監視していくことが重要だ。