20年間「孤独死ゼロ」を実現させた大山団地・自治会会長の佐藤良子さん
同時に孤独死という深刻な社会問題も生じたが、大山団地では自治会がいち早く対策に乗り出し、「孤独死ゼロ作戦」を敢行。その牽引役が、当時の自治会長だった佐藤さんだ。
■「自分が死んだあとのことが心配」という声を受けて始めた“自治会葬”
「これは、ひどい……」
初めて佐藤さんが孤独死の現場に立ち会ったのは、自治会長に就任してすぐのことだった。
「あるとき、『一人暮らしの住人の部屋から異臭がする』と自治会に連絡が入り、警察の検視となりました。これに立ち会うのも、会長の役目のひとつなんです。
部屋に足を踏み入れると、かつて経験したことのない臭いと、あえて言いますが、ウジのわく現場の悲惨さに絶句し、立ち尽くしてしまうわけです」
その住人は、子供会の活動などに一緒に参加していた仲間だった。
「なんで、そんな人がひとりで亡くならないといけないんだ。二度と、団地から孤独死は出さない」
誓った直後から、佐藤さんは「孤独死ゼロ作戦」を掲げていく。
「もう一度、地域とのつながりの在り方を根本から考え直さねば、と思いました」
まずは、電力会社、ガス会社と水道局に協力を依頼した。
「使用量が急に減ったり、集金時にいつもと違うことがあれば、すぐに自治会にでも私の携帯にでも知らせてください」