20年間「孤独死ゼロ」を実現させた大山団地・自治会会長の佐藤良子さん
同じく地域の新聞、牛乳などの宅配店にも出向く。わずか半日でも商品が受け取られないままになっていたら、異変の兆候とみなすという徹底ぶりだった。
さらに孤独死以前の予防策として、認知症の兆候を早期発見するために商店街にも呼びかけた。
「支払いや会話に異変があれば知らせてほしいと。その状況を、役所とも連携して、民生委員や離れて暮らす家族に伝えるシステムも作りました」
やがて住民の間にも、誰も孤独死させないとの意志が行き渡る。
「冬なのに窓が開けっ放し、きちょうめんな人が洗濯物を取り込んでいないなどと、連絡が届きました。
あるとき、78歳の独居の女性が飼う犬が鳴き続けていた。いつもおとなしい犬なのにと異変に気づいて隣人が声をかけても、ドアホンを押しても反応がない。
まず親族、続いて消防署に連絡して、はしご車で3階のベランダから部屋に入ると、トイレで倒れている女性を発見でき、救急車で運ばれて事なきを得たというケースもありました」
孤独死ゼロ作戦が続くなか、住民から起こった声をもとに、大山団地独自の新たな取り組みも始まる。それが“自治会葬”だ。
「高齢化や独居が進むなかで、住民から『自分が死んだあとの葬儀が心配』という声が多く聞かれるようになります。