戦前のダンディズムはどこへ?イケてない「日本のオジサン」の誕生
ドブネズミルック、これは日本のオジサンを代表するファッションスタイルだろう。中高年でネズミ色のややくたびれたスーツを着て、会社帰りに肩を落として駅に向かう。まっすぐ家に帰れないので、ガード下で一杯同僚と引っ掛けて仕事のウサを晴らし、千鳥足で家路につくオジサンだ。
少し前までは、このオジサンが若い女性社員にセクハラめいたことをいってひんしゅくを買うということもありがちだった。ダンディとは程遠く、とてもイケてるとはいい難いのが一般的な中高年サラリーマン男性であった。
しかしながら、日本人男性は昔からそうだったのか、昔から一貫してくたびれた中高年だったのだろうか。
実は、そもそも日本人男性は戦前まではダンディだった。少なくともダンディでありたいという精神は持っていたといっていい。
その象徴ともいえるのは戦前に流行った白いスーツとパナマ帽だ。特に夏場は戦前のことでクーラーもなく、白いスーツが相手からも好感を持たれたのだろう。
この白いスーツは、ごく一部の中高年ではなく、当時の会社員の多くにも流行っていたとみられる。