残留元日本兵の家族が両陛下にご接見…実現させた日本人女性
私、涙が出てくるんだけどね」(小松さん)
’04年、小松さんはスアンさんをはじめ3人の元日本兵の妻のレポートを、国立民族博物館友の会の『季刊民族学』に寄稿した。これがNHKのディレクターの目にとまり、BSドキュメンタリーになった。そしてこの番組が縁で、放送の翌年、スアンさんの夫が日本の妻や娘、孫たちに伴われ、会いにきたのである。
「本当にいいご家族でした。スアンさんたら、自分より10歳年下の奥さんのこと、『私より若いんだよ』なんて焼きもち焼いてかわいらしいんです。スアンさんの子どもたちは、60歳近い大人なのに、『お父さん、お父さん』ってズーッと触ってるの。『50年分触りたいんだ』って」(小松さん)
3月2日、シェラトンホテルで両陛下との接見を待つ家族たちは緊張でコチコチになっていた。家族たちを両陛下に紹介するのは、小松さんの役目だった。
あの日を振り返るだけで、小松さんのテンションが上がる。
「もうね、両陛下は優しい、醸し出すものがすごいんですよね。スアンさんは年齢も年齢なのでいすに腰かけていた。ただでさえ小柄だから、皇后陛下がいくらかがんでも、やっぱりね、上からになっちゃう。